電気代の値上がりは、診療報酬で価格転嫁できないクリニックにとって、そのまま収支を圧迫します。
とはいえ、待合室を暗くするわけにも、室温を上げるわけにもいきません。患者さんの安全と体調が最優先だからです。
この記事では、医療機関の電気が何に使われているかを公的データで確認します。そのうえで、患者さんに我慢をお願いせずに空調の負荷を下げる方法を整理します。

医療機関の電気は何に使われているか

資源エネルギー庁の「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者の皆様)」に、医療機関の電力消費の内訳が載っています。夏の17時頃の数字です。
設備 | 割合 |
|---|---|
空調 | 34.7% |
照明 | 32.6% |
その他(医療機器・給湯など) | 32.7% |
空調と照明で約67%。ほぼ3分の2をこの2つが占めています。
医療機関の特徴は、照明の比率が他業種より高いことです。オフィスビルの照明は23.1%、飲食店は17.4%。診察室・処置室・検査室の明るさを確保する必要があるためです。
ピークは8時〜16時。日射と完全に重なる
同じ資料には、医療機関の電力消費は8時〜16時頃に高い状態が続くとあります。
診療時間とそのまま重なり、1日でいちばん日射が強い時間帯とほぼ完全に一致します。空調が最も働いている時間に、窓から熱が入り続けている構図です。
出典:資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者の皆様)令和8年度版」
国が示す対策と、その効果

同じ資料には、医療機関向けの基本アクションと建物全体に対する省エネ効果が載っています。
対策 | 建物全体に対する省エネ効果 |
|---|---|
事務室の照明を半分程度間引きする | 4.3% |
使用していないエリア(診療時間外の外来部門・診療部門)を消灯する | 4.3% |
病棟・外来・診療部門・厨房・管理部門ごとに適切な温度設定を行う | 1.6% |
日中の日射を遮る(ブラインド・カーテン・遮熱フィルム・ひさし・すだれ) | 1.3% |
使用していないエリアの空調を停止する | 1.0% |
※ 一定の条件の下での試算結果です。建物の利用状況により削減値は異なります(同資料の注記)。
注目したいのは、この一覧の中に「日中の日射を遮る」が入っていることです。
なぜクリニックでは他の対策が取りにくいのか
一覧の上位2つは、どちらも「消す」対策です。
事務室の照明を半分に間引くのは可能かもしれません。
ただし診察室・処置室では、労働安全衛生規則の基準値(精密作業300ルクス)に加えて、診療の安全そのものに関わります。ここは削れません。
診療時間外のエリアを消灯・空調停止するのも、すでに実施している施設が多いはずです。伸びしろは大きくありません。
温度設定も同じです。高齢の患者さんが多い待合室で室温を上げる判断は、室内熱中症のリスクと直結します。
つまりクリニックは、「我慢」で削れる余地がもともと小さい施設です。
「日射を遮る」だけは我慢を必要としない
その中で、日射を遮る対策だけは性質が違います。
- 照明を間引く → 暗くなる
- 温度設定を上げる → 患者さんが暑くなる
- 日射を遮る → 待合室の環境はむしろ良くなる
※ この1.3%はブラインドやカーテンを含む「日射を遮る対策」全般に対する国の目安であり、特定の製品の効果を示すものではありません。
待合室の窓が、いちばん熱を集めている
夏に室内へ入る熱の約73%は窓から
夏の冷房時、室内に入ってくる熱のうち約73%が窓から入ってきます。
※夏の冷房期の数値です。
クリニックの待合室は、明るく開放的に設計されていることが多く、大きな窓を持つケースが目立ちます。落ち着いた雰囲気をつくる設計が、そのまま熱の入口になっています。
待合室だけ暑い・診察室だけ寒い
よくあるのが、待合室に合わせて空調を強めると、奥の診察室が寒くなるという状態です。
窓際の患者さんは暑く、スタッフは寒い。空調は最大で回っているのに、どちらも快適ではない。入ってくる熱の量そのものを減らさない限り、この状態は解けません。
高齢の患者さんは暑さを自覚しにくく、待合室での体調不良のリスクもあります。電気代だけの問題ではありません。
施設の空調コストを窓から見直す
窓からの日射熱と空調コストの関係は、法人向けのページでも整理しています。
窓の対策を4つ比べる

項目 | 節電ガラスコート | 遮熱フィルム | 内窓(二重窓) | Low-Eペアガラス |
|---|---|---|---|---|
費用の目安 | 税込13,200円〜/㎡(税別12,000円〜) | 18,000円〜/㎡ | 40,000円〜/㎡ | 45,000円〜/㎡ |
耐用年数の目安 | 15年以上が目安(屋内施工の場合・メーカー調べ) | 5〜10年 | 長い | 長い |
ガラスの交換 | 不要 | 不要 | 不要(内側に増設) | 必要 |
見た目の変化 | ほとんどなし | 製品による | サッシが増える | ほとんどなし |
曲面・型ガラス | 施工できる | 貼れない | - | - |
※ 節電ガラスコートは税込価格です。他工法は税別の一般的な目安(当社調べ・2026年時点)で、実際の金額は施工業者・現場により異なります。
※ 節電ガラスコートの最低施工面積は10㎡です。これを下回る面積でも10㎡分=132,000円〜(税込)を申し受けます。
※ 諸費用(養生・運搬・現場経費等)・出張費・高所費は別途お見積りとなります。
節電ガラスコートがクリニックに向いている理由

節電ガラスコートは、いま入っているガラスの内側に専用の塗料をローラーで塗る工法です。ガラスもサッシも交換しません。
休診日・診療時間外に施工できる

大型の資材を運び込む必要がないため、窓面を区切って部分ごとに施工できます。休診日や診療時間外での作業にも対応します。
ただし6〜9時と18〜23時は25%割増、23〜6時は50%割増になります。金額に関わるので先にお伝えしています。
待合室の明るさを落とさない
膜厚は約8μm(1000分の8ミリ)です。遮熱フィルムの50〜150μmと比べて非常に薄く、施工後の可視光透過率は75%以上を保ちます。
明るく開放的な待合室の印象を変えずに、日射だけ減らせます。
内装や掲示物の日焼けにも効く
紫外線を99%以上カットします。窓際のソファの張り地、掲示物、書棚の背表紙などの色褪せを抑える効果も期待できます。
赤外線については、近赤外線を80%以上カットします。太陽の赤外線を吸収し、室内への熱の流入を抑える仕組みです。
なお、効果を発揮するのは日差しがある日中が中心です。夜間の効果をうたうものではありません。診療時間とはよく重なります。
施工できない窓もあります
すべての窓に施工できるわけではありません。
フィルムよりは熱割れリスクが低く、施工できるケースもあります。
ただしリスクがゼロになるわけではありません。東面にある網入りガラスなど熱割れリスクが高いと判断した場合は施工をお断りしています。
熱割れの可能性があるガラスは、熱線吸収ガラス・網入りガラス・ペアガラス(複層)・Low-E複層です。可否は公式LINEで窓の写真や図面をお送りいただいたうえでご確認ください。
一方で、型ガラス(型板ガラス)や曲面ガラスは、フィルムは貼れませんが節電ガラスコートは施工できます。
施工時の臭いについて
施工中は除光液のような臭いがします。換気をすれば2〜3時間でほとんど気にならなくなり、完全に抜けるまでは半日程度です。
患者さんが出入りする施設では気になる点なので、休診日の活用を含めて段取りをご相談ください。
電気代への効果はどう考えればよいか

環境省の環境技術実証事業(ETV)では、夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した試験結果が示されています。試験で得られた数値であり、当社の施工事例の数値ではありません。
では電気代が何%下がるのか。これは施設ごとに条件が違いすぎるため、一律の数字ではお伝えしていません。
医療機関は照明と医療機器の比率が高く、空調は34.7%です。さらに窓の対策が効くのは、ガラス面のある区画の空調負荷に限られます。
導入前の個別シミュレーションは、ご要望に応じて法人のお客様のみ承っています。図面と窓の条件をいただければ、施設の実態に沿った形で試算します。
温度でみた効果の目安
温度でみた場合の目安は次のとおりです(いずれもメーカー公表の一般値)。
- 直射熱を5〜15℃近く遮熱
- 窓際の温度差8〜10℃
- 室内全体で2〜3℃の温度低下が見込めます
「待合室の窓際だけ暑い」という状態の解消には、体感で分かりやすい効果が出やすい部分です。
費用の目安を確かめる
面積を入れると概算が出るページをご用意しています。
導入までの流れ

- 公式LINEで窓の写真・図面・サイズをお送りいただく
- お見積り(無料)をご提出
- 施工可否(ガラス種別・熱割れリスク)の確認
- 施工日程・時間帯の調整(診療時間外の場合は割増を含めてご提示)
- 施工
実際にガラス越しの熱の違いを確かめられる体感キットもご用意しています。院内で共有する材料としてお使いいただけます。
よくある質問
Q. 診療を止めずに施工できますか?
A. 窓面を区切って部分的に進める方法が一般的です。休診日や診療時間外での作業にも対応します。
診療時間外は割増(6〜9時/18〜23時は25%増、23〜6時は50%増)が加算されます。
Q. 待合室が暗くなりませんか?
A. 施工後の可視光透過率は75%以上を保ちます。膜厚が約8μmと非常に薄いため、見た目の変化は大きくありません。
Q. テナントの医院ですが施工できますか?
A. ガラスを交換せず内側に塗る工法なので、内窓の増設やガラス交換より承認が得やすい傾向があります。ただし判断は貸主・管理会社によりますので、事前にご確認ください。
Q. 冬はどうなりますか?
A. 冬は結露の抑制が期待できます。メーカー公表値では結露の発生を50%以上抑制するとされていますが、完全に防ぐことはできません。
コーティングが熱を吸収してガラス面が暖まる特性によるものです。結露を放置した場合に生じやすいカビ・ダニの発生リスクの低減にもつながります。
Q. どのくらい持ちますか?
A. 15年以上が目安です(屋内施工の場合・メーカー調べ)。遮熱フィルムの5〜10年と比べると、貼り替えの手間と費用がかかりにくい点が違いです。
まとめ
- 医療機関の電力は空調34.7%、照明32.6%。合わせて約67%
- ピークは8時〜16時。診療時間と日射の強い時間帯がほぼ完全に重なる
- 国が示す対策は照明の間引き4.3%、診療時間外の消灯4.3%、温度設定1.6%、日射を遮る1.3%
- 照明と温度設定は診療の安全・患者さんの体調に直結するため、削りにくい
- 夏に室内へ入る熱の約73%は窓から(※夏の冷房期の数値です)
待合室を暗くも暑くもせずに空調の負荷を減らせる余地が、窓には残っています。
まずは窓の写真をお送りください
お見積りは無料です。公式LINEで窓の写真・図面・サイズをお送りいただければ、施工できるかどうかと概算のお見積りをお返しします。
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この記事に関するよくある質問
- Q.節電ガラスコートとは何ですか?
- A.今ある窓ガラスの内側のガラスに、施工するガラスコートのことです。夏は近赤外線をカットして太陽からの直射熱が入るのを防ぎ、日射のある日中の空調にかかる負荷を軽減します。環境省の環境技術実証事業(ETV)の実証試験では、夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した結果が得られています。これは試験で得られた数値であり、当社の施工事例の数値ではありません。なお電気代全体に対する削減率は「空調費の削減率 × 電気代に占める空調費の割合」で決まる別の数値で、その施設・ご家庭の空調の利用割合によって変わります。たとえば電気代の50%を空調費が占め、空調費が約25%下がった場合の単純計算で、電気代全体のおおよそ12%にあたります。また、紫外線(紫外線A波、紫外線B波)をカットもできます。近赤外線と紫外線をWでカットできるのも節電ガラスコートの特徴です。
- Q.デメリットはありますか?
- A.主なデメリットとして、施工時に除光液のような溶剤臭が発生すること(換気により2〜3時間でほとんど気にならなくなり、完全に抜けるまでは半日程度)、完全硬化まで夏は約半月・冬は約1か月かかるため窓の清掃をお待ちいただくこと、防音効果や防犯ガラスとしての機能はないことが挙げられます。ただし、低コスト・高耐久・遮熱・UVカットといったメリットを総合的に考えると、コストパフォーマンスに優れた選択肢です。
- Q.電気代の削減効果を試算してもらえますか?
- A.法人のお客様には無料の現地調査・お見積りを承っております。そのうえで、電気代削減シミュレーションをご希望の場合は、ご要望に応じて法人のお客様のみ承っております(施設の窓面積、方角、空調設備などの情報をもとに作成します)。個人のお客様は空調の利用ペースによる差が大きく、試算が実態と合わないため、削減シミュレーションのご提供は行っておりません。目安として、一般的にオフィスビルでは空調費の約15%の削減が見込めます。高圧電力契約の場合は、ピークカットによる基本料金の引き下げ効果も加わるため、削減効果はさらに大きくなります。なお環境省の環境技術実証事業では夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した結果が得られており、こちらの数値は建物の構造や窓の面積・方角による差を考慮して控えめに見積もった目安です。実証値は試験で得られた数値であり、当社の施工事例の数値ではありません。
- Q.節電ガラスコートの特徴は?
- A.既存の窓ガラスにコートすると、夏は暑い太陽熱をコートした面で、いったん約60%吸収し、その内の40%近くを再放射します。その分遮熱します。西日など直射日光のきつい窓では、同製品を扱う施工店の調査で、施工箇所と未施工箇所に最大約20℃の温度差が出た事例があります(ガラス張りショールームで13日間測定した個別事例の最大値です。効果は窓の方角・ガラスの種類・建物の条件により異なり、すべてのお客様に同じ効果をお約束するものではありません)。室内全体では2〜3℃の温度低下が見込めます(メーカー公表の一般値で、建物の条件により異なります)。また、紫外線を99%以上カットし、結露の発生を抑制する効果もあります。
- Q.施工にかかる時間はどのくらいですか?
- A.窓の面積や枚数によりますが、一般的な住宅(窓10枚程度)であれば1日で完了します。オフィスビルなどの大規模案件でも、1フロアあたり1〜2日が目安です。コートの乾燥時間は夏場で約30分、冬場で約1時間です。
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この記事を書いた人
すがや住宅商品のフランチャイズ本部で、技術サポート、リフォームブランド運営、規格住宅ブランドの立ち上げ・運営、研修講師、商品開発、工務店での家づくりサポートを担当。また、工務店の注文住宅づくりでお客様との打ち合わせや、現場を経験。 その後、節電ガラスコートと出会い、現場施工に転身。 暑い/寒いを我慢しない、紫外線攻撃に負けない、そんな住環境を皆様に届けようと日々奮闘。 どんな時も楽しくをモットーに、現場も楽しんでいます。
施工後のリアルな感想は
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