介護施設の水道光熱費は、いまや管理費ではなく経営を分ける項目になっています。
とはいえ、施設で「暑さを我慢してもらう」節電はできません。高齢の入居者は暑さを自覚しにくく、室温を上げる判断がそのまま健康リスクにつながるからです。
この記事では、公的機関のデータで介護施設の光熱費が置かれている状況を確認します。そのうえで、入居者にも職員にも我慢をお願いせずに空調の負荷を下げる方法を整理します。

光熱費の増加は「職員0.8人分」に相当する

独立行政法人 福祉医療機構(WAM)のリサーチレポートが、特別養護老人ホームの2022年度決算を分析しています。
サービス活動収益に占める水道光熱費の割合(水道光熱費率)は、次のように動きました。
区分 | 2021年度 | 2022年度 | 変化 |
|---|---|---|---|
従来型 | 4.9% | 6.0% | +1.1ポイント |
ユニット型 | 4.3% | 5.4% | +1.1ポイント |
1施設あたりの水道光熱費は、従来型で年間365万円、ユニット型で年間390万円の増加です。
同レポートは、この増加額について「従事者1人当たり人件費が4,500千円程度なので、およそ0.8人分に相当する規模」と述べています。
職員をもう1人雇えたかもしれない金額が、光熱費に消えたということです。
出典:独立行政法人福祉医療機構(WAM)リサーチレポート 2023-010
水道光熱費率8%以上は、3分の2近くが赤字

同じレポートは、水道光熱費率の水準ごとに経営状況を集計しています。従来型の特養では次のとおりです。
水道光熱費率 | 赤字施設の割合 | サービス活動増減差額比率 |
|---|---|---|
4%未満 | 34.0% | +4.3% |
4%以上5%未満 | 38.8% | +2.4% |
5%以上6%未満 | 49.4% | +0.3% |
6%以上7%未満 | 47.4% | △0.2% |
7%以上8%未満 | 54.3% | △1.2% |
8%以上 | 65.0% | △3.3% |
5〜6%と6〜7%のあいだで、収支がマイナスに転じます。同レポートも、この区分が黒字施設と赤字施設を隔てる水準だと指摘しています。
そして8%以上の区分では、赤字施設が3分の2近くを占めます。
赤字施設の割合そのものも、従来型で42.0%→48.1%、ユニット型で30.5%→34.5%へ拡大しました。
介護施設は「我慢の節電」ができない
一般的な節電の記事には、次のような対策が並びます。
- 照明を間引く
- 設定温度を上げる
- 使っていないエリアの空調を止める
介護施設では、このどれもが取りにくい対策です。
室温を上げる判断が、そのまま健康リスクになる
高齢の方は暑さを自覚しにくく、発汗や体温調節の機能も低下します。室内での熱中症は、高齢者に多いことが繰り返し指摘されています。
「無理のない範囲で室温を上げる」という一般的な節電の前提が、そもそも成り立ちません。
照明も夜間も落とせない
転倒防止のため、廊下や居室の明るさは確保する必要があります。夜勤帯も含めて24時間365日稼働しており、営業時間外に一斉に落とすという発想も使えません。
職員側の熱中症対策も義務になった
2026年から、職場の熱中症対策は事業者の義務です。入居者だけでなく、厨房・洗濯室・機能訓練室で働く職員の環境も守らなければなりません。
つまり介護施設は、「削る」方向の余地がもともと小さい施設です。だからこそ、入ってくる熱そのものを減らす対策に価値があります。
熱がいちばん入ってくるのは窓
夏に室内へ入る熱の約73%は窓から
夏の冷房時、室内に入ってくる熱のうち約73%が窓から入ってきます。
※夏の冷房期の数値です。
介護施設は、日当たりを重視して設計されることが多い建物です。南面の大きな窓、食堂やデイルームの掃き出し窓、明るいエントランス。入居者のための設計が、そのまま熱の入口になっています。
効きやすいのはこの場所
- 食堂・デイルーム:滞在時間が長く、窓が大きい
- 機能訓練室:身体を動かすため、暑さが直接リスクになる
- 南面・西面の居室:午後にかけて室温が上がりやすい
- エントランス・面会スペース:大きなガラス面が多い
- スタッフルーム・事務室:職員の作業環境と熱中症対策に直結
なお、すべての窓に一律で効く対策ではありません。ガラス面が大きく、日射が当たる場所を選んで施工するのが基本の考え方です。
施設の空調コストを窓から見直す
窓からの日射熱と空調コストの関係は、法人向けのページでも整理しています。
窓の対策を4つ比べる

項目 | 節電ガラスコート | 遮熱フィルム | 内窓(二重窓) | Low-Eペアガラス |
|---|---|---|---|---|
費用の目安 | 税込13,200円〜/㎡(税別12,000円〜) | 18,000円〜/㎡ | 40,000円〜/㎡ | 45,000円〜/㎡ |
耐用年数の目安 | 15年以上が目安(屋内施工の場合・メーカー調べ) | 5〜10年 | 長い | 長い |
ガラスの交換 | 不要 | 不要 | 不要(内側に増設) | 必要 |
見た目の変化 | ほとんどなし | 製品による | サッシが増える | ほとんどなし |
曲面・型ガラス | 施工できる | 貼れない | - | - |
※ 節電ガラスコートは税込価格です。他工法は税別の一般的な目安(当社調べ・2026年時点)で、実際の金額は施工業者・現場により異なります。
※ 節電ガラスコートの最低施工面積は10㎡です。これを下回る面積でも10㎡分=132,000円〜(税込)を申し受けます。
※ 諸費用(養生・運搬・現場経費等)・出張費・高所費は別途お見積りとなります。
内窓の増設やガラス交換は、居室に入って大がかりな工事をすることになります。入居者の生活を止めずに進めるのは簡単ではありません。
節電ガラスコートが介護施設に向いている理由

節電ガラスコートは、いま入っているガラスの内側に専用の塗料をローラーで塗る工法です。ガラスもサッシも交換しません。
入居者の生活を止めずに施工できる

大型の資材を運び込む必要がないため、部屋やフロアを区切って部分ごとに施工できます。1室ずつ順番に進める形も取れます。
時間帯をずらしたい場合も対応します。ただし6〜9時と18〜23時は25%割増、23〜6時は50%割増になります。金額に関わるので先にお伝えしています。
明るさと眺望を保てる
膜厚は約8μm(1000分の8ミリ)です。遮熱フィルムの50〜150μmと比べて非常に薄く、施工後の可視光透過率は75%以上を保ちます。
日当たりの良さや外の景色を損なわずに、日射だけ減らせます。窓から外を眺める時間が生活の一部になっている施設では、ここは譲れない条件です。
家具・畳・掲示物の日焼けにも効く
紫外線を99%以上カットします。窓際の家具、畳、掲示物、書籍などの色褪せを抑える効果も期待できます。
赤外線については、近赤外線を80%以上カットします。太陽の赤外線を吸収し、室内への熱の流入を抑える仕組みです。
なお、効果を発揮するのは日差しがある日中が中心です。夜間の効果をうたうものではありません。
施工できない窓もあります
すべての窓に施工できるわけではありません。
フィルムよりは熱割れリスクが低く、施工できるケースもあります。
ただしリスクがゼロになるわけではありません。東面にある網入りガラスなど熱割れリスクが高いと判断した場合は施工をお断りしています。
熱割れの可能性があるガラスは、熱線吸収ガラス・網入りガラス・ペアガラス(複層)・Low-E複層です。可否は公式LINEで窓の写真や図面をお送りいただいたうえでご確認ください。
一方で、型ガラス(型板ガラス)や曲面ガラスは、フィルムは貼れませんが節電ガラスコートは施工できます。
施工時の臭いについて
施工中は除光液のような臭いがします。換気をすれば2〜3時間でほとんど気にならなくなり、完全に抜けるまでは半日程度です。
入居者がいる施設では特に気になる点です。施工する部屋の順番、換気の段取り、一時的な居室の移動まで含めてご相談ください。
光熱費への効果はどう考えればよいか

環境省の環境技術実証事業(ETV)では、夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した試験結果が示されています。試験で得られた数値であり、当社の施工事例の数値ではありません。
では光熱費が何%下がるのか。これは施設ごとに条件が違いすぎるため、一律の数字ではお伝えしていません。
介護施設の水道光熱費には、給湯・入浴・洗濯・厨房も含まれます。窓の対策が効くのは、そのうち日射が当たる区画の空調負荷に限られます。
導入前の個別シミュレーションは、ご要望に応じて法人のお客様のみ承っています。図面と窓の条件をいただければ、施設の実態に沿った形で試算します。
温度でみた効果の目安
温度でみた場合の目安は次のとおりです(いずれもメーカー公表の一般値)。
- 直射熱を5〜15℃近く遮熱
- 窓際の温度差8〜10℃
- 室内全体で2〜3℃の温度低下が見込めます
「南向きの居室だけ暑い」「食堂の窓際が暑い」という状態の解消には、体感で分かりやすい効果が出やすい部分です。
費用の目安を確かめる
面積を入れると概算が出るページをご用意しています。
補助金は使えるか
節電ガラスコートは、国の窓リフォーム系の補助金(ガラス交換や内窓の設置を対象とするもの)の要件には当てはまりません。ガラスを交換しない工法だからです。
一方で、自治体の省エネ設備導入支援や、介護施設向けの支援事業の対象になる場合があります。制度は年度ごとに変わるため、詳しくは補助金の記事をご覧ください。
導入までの流れ

- 公式LINEで窓の写真・図面・サイズをお送りいただく
- お見積り(無料)をご提出
- 施工可否(ガラス種別・熱割れリスク)の確認
- 施工日程・時間帯・部屋の順番の調整
- 施工
実際にガラス越しの熱の違いを確かめられる体感キットもご用意しています。稟議やご家族への説明の材料としてお使いいただけます。
よくある質問
Q. 入居者がいる状態で施工できますか?
A. 部屋やフロアを区切って部分的に進める方法が一般的です。1室ずつ順番に施工する形も取れます。
施工中は除光液のような臭いがするため、換気の段取りと部屋の順番を事前に相談させていただきます。
Q. 居室が暗くなりませんか?
A. 施工後の可視光透過率は75%以上を保ちます。膜厚が約8μmと非常に薄いため、見た目の変化は大きくありません。
Q. 冬はどうなりますか?
A. 冬は結露の抑制が期待できます。メーカー公表値では結露の発生を50%以上抑制するとされていますが、完全に防ぐことはできません。
コーティングが熱を吸収してガラス面が暖まる特性によるものです。結露を放置した場合に生じやすいカビ・ダニの発生リスクの低減にもつながります。
Q. どのくらい持ちますか?
A. 15年以上が目安です(屋内施工の場合・メーカー調べ)。遮熱フィルムの5〜10年と比べると、貼り替えの手間と費用がかかりにくい点が違いです。
Q. 賃貸の建物ですが施工できますか?
A. ガラスを交換せず内側に塗る工法なので、内窓の増設やガラス交換より承認が得やすい傾向があります。ただし判断は建物の所有者によりますので、事前にご確認ください。
まとめ
- 特養の水道光熱費率は1年で1.1ポイント上昇。1施設あたり年間365〜390万円の増加
- この増加額は職員およそ0.8人分の人件費に相当する
- 水道光熱費率8%以上の施設は、3分の2近くが赤字。5〜6%と6〜7%のあいだで収支がマイナスに転じる
- 介護施設は室温も照明も落とせないため、「我慢の節電」の余地がもともと小さい
- 夏に室内へ入る熱の約73%は窓から(※夏の冷房期の数値です)
入居者にも職員にも我慢をお願いせずに空調の負荷を減らせる余地が、窓には残っています。
まずは窓の写真をお送りください
お見積りは無料です。公式LINEで窓の写真・図面・サイズをお送りいただければ、施工できるかどうかと概算のお見積りをお返しします。
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この記事に関するよくある質問
- Q.節電ガラスコートとは何ですか?
- A.今ある窓ガラスの内側のガラスに、施工するガラスコートのことです。夏は近赤外線をカットして太陽からの直射熱が入るのを防ぎ、日射のある日中の空調にかかる負荷を軽減します。環境省の環境技術実証事業(ETV)の実証試験では、夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した結果が得られています。これは試験で得られた数値であり、当社の施工事例の数値ではありません。なお電気代全体に対する削減率は「空調費の削減率 × 電気代に占める空調費の割合」で決まる別の数値で、その施設・ご家庭の空調の利用割合によって変わります。たとえば電気代の50%を空調費が占め、空調費が約25%下がった場合の単純計算で、電気代全体のおおよそ12%にあたります。また、紫外線(紫外線A波、紫外線B波)をカットもできます。近赤外線と紫外線をWでカットできるのも節電ガラスコートの特徴です。
- Q.デメリットはありますか?
- A.主なデメリットとして、施工時に除光液のような溶剤臭が発生すること(換気により2〜3時間でほとんど気にならなくなり、完全に抜けるまでは半日程度)、完全硬化まで夏は約半月・冬は約1か月かかるため窓の清掃をお待ちいただくこと、防音効果や防犯ガラスとしての機能はないことが挙げられます。ただし、低コスト・高耐久・遮熱・UVカットといったメリットを総合的に考えると、コストパフォーマンスに優れた選択肢です。
- Q.電気代の削減効果を試算してもらえますか?
- A.法人のお客様には無料の現地調査・お見積りを承っております。そのうえで、電気代削減シミュレーションをご希望の場合は、ご要望に応じて法人のお客様のみ承っております(施設の窓面積、方角、空調設備などの情報をもとに作成します)。個人のお客様は空調の利用ペースによる差が大きく、試算が実態と合わないため、削減シミュレーションのご提供は行っておりません。目安として、一般的にオフィスビルでは空調費の約15%の削減が見込めます。高圧電力契約の場合は、ピークカットによる基本料金の引き下げ効果も加わるため、削減効果はさらに大きくなります。なお環境省の環境技術実証事業では夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した結果が得られており、こちらの数値は建物の構造や窓の面積・方角による差を考慮して控えめに見積もった目安です。実証値は試験で得られた数値であり、当社の施工事例の数値ではありません。
- Q.節電ガラスコートの特徴は?
- A.既存の窓ガラスにコートすると、夏は暑い太陽熱をコートした面で、いったん約60%吸収し、その内の40%近くを再放射します。その分遮熱します。西日など直射日光のきつい窓では、同製品を扱う施工店の調査で、施工箇所と未施工箇所に最大約20℃の温度差が出た事例があります(ガラス張りショールームで13日間測定した個別事例の最大値です。効果は窓の方角・ガラスの種類・建物の条件により異なり、すべてのお客様に同じ効果をお約束するものではありません)。室内全体では2〜3℃の温度低下が見込めます(メーカー公表の一般値で、建物の条件により異なります)。また、紫外線を99%以上カットし、結露の発生を抑制する効果もあります。
- Q.施工にかかる時間はどのくらいですか?
- A.窓の面積や枚数によりますが、一般的な住宅(窓10枚程度)であれば1日で完了します。オフィスビルなどの大規模案件でも、1フロアあたり1〜2日が目安です。コートの乾燥時間は夏場で約30分、冬場で約1時間です。
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この記事を書いた人
多田断熱リフォーム事業の責任者を経験し、全国の中古住宅の断熱性能を高める必要性を強く実感するも、コスト面(最低でも1,000万円〜)で全国に広めていくことの難しさを痛感。独立後に『コストを抑えて高い効果を発揮する節電ガラスコート』に出会い、自身で事業展開。法人施設から個人住宅まで様々な現場を手がけるとともに、法人向けに節電コンサルティング事業も行っている。
施工後のリアルな感想は
Instagramハイライトにて公開中!
実際に「節電ガラスコート」を導入されたお客様の生の声や、施工現場の様子をInstagramで随時発信しています。
プロフィール画面の「お客様の声」ハイライトから、ぜひチェックしてみてください。

インスタグラマーとのコラボ
有名インスタグラマーさんのご自宅にも節電ガラスコートが採用されています。
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