物価と人件費の上昇で、病院の経営は厳しさを増しています。
電気代をはじめとする光熱費も、その一因です。
とはいえ、病棟の空調は24時間止められません。
患者さんに暑さを我慢してもらう節電もできません。
この記事では、病院の光熱費の現状を公的なデータで確認します。
そのうえで、病棟を止めずにできる窓の対策を整理します。
病院の電気代・光熱費は、いまどのくらいの重さか
独立行政法人 福祉医療機構(WAM)が、2,391病院の2024年度決算を分析しています。
一般病院の赤字割合は58.3%でした。
前年度の49.4%から8.9ポイント増え、約6割が赤字という結果です。

病院の類型 | 水道光熱費率(2023→2024年度) | 赤字病院の割合(2023→2024年度) |
|---|---|---|
一般病院 | 1.8% → 1.9% | 49.4% → 58.3% |
療養型病院 | 2.2% → 2.3% | 37.7% → 42.9% |
精神科病院 | 3.0% → 3.2% | 41.8% → 55.2% |
水道光熱費率は、医業収益に対する水道光熱費の割合です。
3つの類型すべてで、前年度より0.1〜0.2ポイント上がりました。
同レポートは、国による電気・ガス料金の値引きが、2023年度は通年、2024年度は8か月分だったことが影響したとみています。
1床あたり年間約44万円という計算
一般病院の1床あたり医業収益は23,419千円です。
これに水道光熱費率1.9%を掛けると、1床あたり年間約44万円になります。
200床の病院なら、年間およそ8,900万円です。
※当社による単純計算です。
水道光熱費は電気・ガス・水道などの合計で、電気代だけの金額ではありません。
出典:独立行政法人福祉医療機構 リサーチレポート「2024年度 病院の経営状況について」(2026年3月)
病院の電気代が下がらない3つの理由
病棟の空調と照明は24時間止められない
外来は、診療時間が終われば消灯し、空調も止められます。
病棟はそうはいきません。
日本医師会総合政策研究機構が2つの病院を調べた研究では、使用電力に占める病棟部門の割合は19%と28%でした。
※300床と365床の2病院の事例で、電力設備容量をもとにした割合です(日医総研ワーキングペーパーNo.287)。
患者さんに我慢をお願いする節電ができない
資源エネルギー庁の資料では、医療機関の電力のうち空調が34.7%、照明が32.6%を占めます(夏の17時頃)。
オフィスなら、設定温度を上げる方法があります。
病院では、室温がそのまま患者さんの体調に関わります。
内訳と国が示す対策の一覧は、クリニックの電気代を下げるには?内訳と窓の見直しで詳しく紹介しています。
設備の更新は効果が大きいが、時期と費用の壁がある
日本医師会の調査には、150床の病院が空調設備を更新し、35〜40%の省エネ効果を得た事例があります。
ただしこの病院は、補助金を使い、病棟を1フロアずつ年度を分けて更新しています。
工事の時期は、エアコンが不要な10月・11月でした。
効果は大きくても、予算と時期がそろわないと動かせないのが設備の更新です。
出典:日本医師会「病院設備における補助金活用に関するヒアリング調査事例」
見落とされやすい「病室の窓」
設備の更新を待つあいだにも、できることがあります。
それが、窓から入る日射熱を減らす対策です。
夏の冷房時、室内に入ってくる熱の約73%は窓から入ります。
※夏の冷房期の数値です。

病室はベッドが窓際にある
病室のベッドは、窓に沿って並びます。
日差しの強い時間帯、窓際の患者さんは暑さを直接受けます。
カーテンを閉めれば日差しは和らぎます。
ただし病室は暗くなり、外の景色も見えなくなります。
西向きの病室は午後に暑くなる
先ほどの150床の病院は、同じ調査で、病室の半分が西向きで午後の西日の影響が大きいと答えています。
窓には遮熱フィルムを貼らず、遮熱タイプのレースカーテンで代用しているそうです。
病室の西日は、現場でも課題になっています。
食堂・デイルーム・ロビーも窓が大きい
患者さんやご家族が集まる食堂やデイルーム、ロビーは、明るさを取るために窓が大きく作られています。
人が集まる時間と日差しの強い時間が重なると、空調を強めても窓際だけ暑い状態になります。
国の資料でも、窓の日射対策は効果の大きい項目
厚生労働省の「病院における省エネルギー実施要領」には、省エネ改善手法の一覧表があります。
このなかで、窓ガラスへの遮熱フィルムなどの貼付けは、効果度が「◎(効果大)」、費用は「中程度」に分類されています。
資源エネルギー庁の資料も、医療機関の基本アクションに「日中の日射を遮る」を挙げています。
建物全体に対する省エネ効果の目安は1.3%です。
※いずれも日射を遮る対策全般についての資料で、特定の製品の効果を示すものではありません。
出典:厚生労働省医政局「病院における省エネルギー実施要領」(平成20年3月)/資源エネルギー庁「夏季の省エネ・節電メニュー(事業者の皆様)令和8年度版」
窓の対策4つを病院の条件で比べる

項目 | 節電ガラスコート | 遮熱フィルム | 内窓(二重窓) | Low-Eペアガラス |
|---|---|---|---|---|
費用の目安 | 税込13,200円〜/㎡(税別12,000円〜) | 18,000円〜/㎡ | 40,000円〜/㎡ | 45,000円〜/㎡ |
耐用年数の目安 | 15年以上が目安(屋内施工の場合・メーカー調べ) | 5〜10年 | 長い | 長い |
工事の内容 | ガラスの内側に塗る | ガラスの内側に貼る | 内側に窓を増設する | ガラスを交換する |
型ガラス・曲面ガラス | 施工できる | 貼れない | - | - |
※節電ガラスコートは税込価格です。
他工法は税別の一般的な目安(当社調べ・2026年時点)で、実際の金額は施工業者・現場により異なります。
※節電ガラスコートの最低施工面積は10㎡です。
これを下回る面積でも10㎡分=132,000円〜(税込)を申し受けます。
※諸費用(養生・運搬・現場経費等)・出張費・高所費は別途お見積りとなります。
病院で比べるときのポイントは2つです。
工事のあいだ病室や共用部を使えるか、そして何年もつかです。
遮熱フィルムは、5〜10年で貼り替えの時期が来ます。
そのたびに、病室を空ける段取りが必要になります。
※貼り替え時には既存フィルムの剥離費用が別途かかります。
内窓やガラスの交換は、断熱性も高められる方法です。
そのぶん、費用と工期は大きくなります。
節電ガラスコートを病院に入れるときの進め方
節電ガラスコートは、いま入っているガラスの内側に、専用の塗料をローラーで塗る工法です。
ガラスもサッシも交換しません。
近赤外線を80%以上、紫外線を99%以上カットします。
太陽の赤外線を吸収し、室内への熱の流入を抑える仕組みです。
効果を発揮するのは、日差しのある日中が中心です。

人が集まる共用の空間から始める
最初の対象にしやすいのは、食堂・デイルーム・ロビー・渡り廊下などの共用の空間です。
利用する時間が決まっているので、使わない時間帯に、窓面を区切って施工できます。
病室は、空いている部屋から順に
病室は、空いている部屋から病室単位で進めます。
病棟全体を止める必要はありません。

施工時の臭いと換気
施工中は、除光液のような臭いがします。
換気をすれば2〜3時間でほとんど気にならなくなり、完全に抜けるまでは半日程度です。
患者さんのいる部屋で作業をしないのは、このためです。
換気の時間を含めて日程を組みます。
時間外の施工は割増になります
早朝や夜間の施工にも対応します。
ただし6〜9時と18〜23時は25%割増、23〜6時は50%割増になります。
施工できない窓もあります
すべての窓に施工できるわけではありません。
フィルムよりは熱割れリスクが低く、施工できるケースもあります。
ただし、リスクがゼロになるわけではありません。
東面にある網入りガラスなど、熱割れリスクが高いと判断した場合は施工をお断りしています。
熱割れの可能性があるガラスは、熱線吸収ガラス・網入りガラス・ペアガラス(複層)・Low-E複層です。
可否は、お問い合わせフォームから窓の写真や図面をお送りいただいたうえで確認します。
一方で、型ガラス(型板ガラス)や曲面ガラスは、フィルムは貼れませんが節電ガラスコートは施工できます。
医療施設での施工実績
メーカーの施工実績には、総合病院や大学病院、医院、老人ホームなどの医療・福祉施設が含まれています(メーカー資料による)。
メーカー全体では、世界30カ国以上・施工面積100万㎡超の実績があります。
電気代への効果はどう考えればよいか
環境省の環境技術実証事業(ETV)では、夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した試験結果が示されています。
冬を含む通年では12.8%です。
では、電気代全体ではどうでしょうか。
医療機関では、空調が電力の34.7%を占めます(夏の17時頃・資源エネルギー庁)。
空調が電気代の34.7%を占めると仮定し、ETVの通年の空調負荷低減率12.8%を掛けると、電気代全体では約4.4%の削減と試算できます(通年の削減率で計算)。

※34.7%は夏の夕方の電力の割合で、年間の電気代に占める割合ではありません。
仮定にもとづく単純計算です。
窓のない区画の空調には効果が及びません。
※導入前の個別シミュレーションは、ご要望に応じて法人のお客様のみ承っています。
温度でみた効果の目安
温度でみた場合の目安は次のとおりです(いずれもメーカー公表の一般値)。
- 直射熱を5〜15℃近く遮熱
- 窓際の温度差8〜10℃
- 室内全体で2〜3℃の温度低下が見込めます
費用の目安
節電ガラスコートは税込13,200円〜/㎡(税別12,000円〜)です。
すりガラス(型板ガラス)タイプは税込15,400円〜/㎡(税別14,000円〜)です。
たとえば食堂とデイルームの窓が合わせて50㎡なら、13,200円×50㎡=660,000円〜(税込)が目安です。
最低施工面積は10㎡で、これを下回る面積でも10㎡分(132,000円〜・税込)を申し受けます。
諸費用(養生・運搬・現場経費等)・出張費・高所費は、別途お見積りとなります。
病院で使える補助金はあるか
法人・公的施設向けには、省エネや暑さ対策を目的とした補助金で、窓の遮熱が対象になる制度があります。
病院に関係するものを、当社が調べた範囲で2つ紹介します(2026年9月時点)。
厚生労働省の交付金(地球温暖化対策施設整備事業)
医療提供体制施設整備交付金のメニューのひとつで、民間の病院・診療所が対象です。
公立病院は対象になりません。
東京都の場合、補助率は0.66(国0.33・都0.33)です。
ただし、整備内容の例に窓の遮熱は挙がっていません。
対象になるかどうかは、都道府県の担当窓口への確認が必要です。
手続きは年度単位で進みます。
東京都では、令和9年度に着工する分の意向調査が2026年7月に締め切られています。
自治体の省エネ設備補助金
都道府県や市区町村には、中小事業者向けの省エネ設備補助金があります。
医療法人を対象に含む制度もあります。
一方で、従業員数に上限がある制度や、医療法人を対象外とする制度、窓だけの工事は認めない制度もあります。
条件は自治体ごとに違い、年度の途中で受付が終わることもあります。
検討の際は、所在地の自治体の窓口へ事前にご確認ください。
補助金の考え方は、節電ガラスコートに補助金は使える?個人は対象外・法人は対象になる制度もで整理しています。
導入までの流れ

- お問い合わせフォームから、窓の写真・図面・サイズをお送りいただく
- ヒアリング(対象の部屋・ご希望の時期)
- お見積り(無料)をご提出
- 施工可否(ガラス種別・熱割れリスク)の確認
- 施工日程・時間帯の調整(時間外の場合は割増を含めてご提示)
- 施工
法人のお客様には、ガラス越しの熱の違いを確かめられる体感キットを、導入前にお送りしています。
院内でご検討いただく際の材料としてお使いください。
よくある質問
Q. 入院中の患者さんがいる病棟でも施工できますか?
A. 空いている病室から、病室単位で進めます。
食堂やロビーなどの共用の空間は、使わない時間帯に施工できます。
時間外の施工は、割増(6〜9時/18〜23時は25%増、23〜6時は50%増)が加算されます。
Q. 病室が暗くなりませんか?
A. 施工後も、可視光透過率は75%以上を保ちます。
膜厚は約8μmと薄く、仕上がりは薄い水色になります。
Q. 冬はどうなりますか?
A. 冬は結露の抑制が期待できます。
メーカー公表値では結露の発生を50%以上抑制するとされていますが、完全に防ぐことはできません。
コーティングが熱を吸収してガラス面が暖まる特性によるものです。
Q. どのくらい持ちますか?
A. 15年以上が目安です(屋内施工の場合・メーカー調べ)。
遮熱フィルムの5〜10年と比べると、貼り替えの回数を減らせます。
Q. 補助金は使えますか?
A. 法人向けには、対象になる制度もあります。
ただし制度ごとに条件が違うため、事前に窓口への確認が必要です。
まとめ
- 一般病院の赤字割合は58.3%。水道光熱費率も3つの類型すべてで上昇(福祉医療機構・2024年度決算)
- 病棟の空調と照明は24時間止められず、患者さんに我慢をお願いする節電もできない
- 設備の更新は効果が大きいが、予算と時期がそろわないと動かせない
- 夏に室内へ入る熱の約73%は窓から(※夏の冷房期の数値です)
- 窓の対策は、共用の空間と空いている病室から、病棟を止めずに進められる
設備の更新を待つあいだにも、窓からできることは残っています。
まずは窓の写真・図面をお送りください
お見積りは無料です。
お問い合わせフォームから窓の写真・図面・サイズをお送りいただければ、施工できるかどうかと概算のお見積りをお返しします。
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この記事に関するよくある質問
- Q.節電ガラスコートとは何ですか?
- A.今ある窓ガラスの内側のガラスに、施工するガラスコートのことです。夏は近赤外線をカットして太陽からの直射熱が入るのを防ぎ、日射のある日中の空調にかかる負荷を軽減します。環境省の環境技術実証事業(ETV)で、夏の冷房時の空調負荷を約25%低減、冬場を含む通年では12.8%低減した試験結果がございます。空調費が電気代の50%を占める施設であれば、ETVの通年の空調負荷低減率12.8%から、電気代全体では6.4%の削減につながると試算できます。また、紫外線(紫外線A波、紫外線B波)をカットもできます。近赤外線と紫外線をWでカットできるのも節電ガラスコートの特徴です。
- Q.デメリットはありますか?
- A.主なデメリットとして、施工時に除光液のような溶剤臭が発生すること(換気により2〜3時間でほとんど気にならなくなり、完全に抜けるまでは半日程度)、完全硬化まで夏は約半月・冬は約1か月かかるため窓の清掃をお待ちいただくこと、防音効果や防犯ガラスとしての機能はないことが挙げられます。ただし、低コスト・高耐久・遮熱・UVカットといったメリットを総合的に考えると、コストパフォーマンスに優れた選択肢です。
- Q.電気代の削減効果を試算してもらえますか?
- A.お見積りは無料です。窓の写真や図面をお送りいただいたうえで作成します(【法人の方】お問い合わせフォーム/【個人の方】公式LINE)。そのうえで、電気代削減シミュレーションをご希望の場合は、ご要望に応じて法人のお客様のみ承っております(施設の窓面積、方角、空調設備などの情報をもとに作成します)。個人のお客様は空調の利用ペースによる差が大きく、試算が実態と合わないため、削減シミュレーションのご提供は行っておりません。なお、環境省の環境技術実証事業(ETV)では、夏の冷房時の空調負荷を約25%低減した試験結果がございます。
- Q.節電ガラスコートの特徴は?
- A.既存の窓ガラスにコートすると、夏は暑い太陽熱をコートした面で、いったん約60%吸収し、その内の40%近くを再放射します。その分遮熱します。西日など直射日光のきつい窓では、同製品を扱う施工店の調査で、施工箇所と未施工箇所に最大約20℃の温度差が出た事例があります(ガラス張りショールームで13日間測定した個別事例の最大値です。効果は窓の方角・ガラスの種類・建物の条件により異なり、すべてのお客様に同じ効果をお約束するものではありません)。室内全体では2〜3℃の温度低下が見込めます(メーカー公表の一般値で、建物の条件により異なります)。また、紫外線を99%以上カットし、結露の発生を抑制する効果もあります。
- Q.施工にかかる時間はどのくらいですか?
- A.窓の面積や枚数によりますが、一般的な住宅(窓10枚程度)であれば1日で完了します。オフィスビルなどの大規模案件でも、1フロアあたり1〜2日が目安です。コートの乾燥時間は夏場で約30分、冬場で約1時間です。
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この記事を書いた人
多田断熱リフォーム事業の責任者を経験し、全国の中古住宅の断熱性能を高める必要性を強く実感するも、コスト面(最低でも1,000万円〜)で全国に広めていくことの難しさを痛感。独立後に『コストを抑えて高い効果を発揮する節電ガラスコート』に出会い、自身で事業展開。法人施設から個人住宅まで様々な現場を手がけるとともに、法人向けに節電コンサルティング事業も行っている。
施工後のリアルな感想は
Instagramハイライトにて公開中!
実際に「節電ガラスコート」を導入されたお客様の生の声や、施工現場の様子をInstagramで随時発信しています。
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